はじまり支援事業
新しい暮らしへ巣立つこどもたちへ、
“手から手へ”つなぐ

うつわとお洋服のお渡し会
巣立ちを迎えた若者に寄り添う、
器や洋服を選ぶ時間

巣立ちを迎えるこどもや若者が、それぞれの暮らしを思い 描きながら”自分の意思で選ぶ”ことを大切にした取り組みです。器や洋服といった、毎日の暮らしを支える日用品を実際に手に取り、本物の手触りや温もりに触れながら選ぶ体験を届けます。
社会的養護下で育つこどもたちは、集団生活のなかで「自分の好みで選ぶこと」や「自分らしい暮らしを思い描くこと」を十分に経験できないまま、巣立ちを迎えることも少なくありません。選ぶという体験を通して、こどもたちが「自分で暮らしをつくっていける」という実感を持てることを大切にしています。

会場には、作り手から寄せられた、手仕事の器やグラス、洋服等が並びます。実際に手に取り手触りを確かめながら、これからの暮らしに合うものをゆっくりと選ぶことができます。

器は、制作の工程で小さなキズや色ムラなどが出て正規品としての販売が難しいものも含まれますが、使用には支障のないものです。
洋服は、ブランドのサンプル品や販売余剰品などの新品をご用意しています。

当日は、器の扱い方やお洋服のコーディネートについてもスタッフがお手伝いします。あわせて、これらの品物が多くの人の応援によって届けられていること、そして必要なときにまた来られる居場所があることも伝えていきます。
「これからの暮らしが、少し楽しみになる」そんな時間を過ごしてもらえたら嬉しいです。
開催日程
2026年 2月14日(土)、3月21日(土)、5月16日(土)
開催場所
都内(詳細は「お知らせ」をご確認ください)
対象
児童養護施設や里親などから卒業する/近年卒業した方、自立援助ホーム、母子生活支援施設などを利用されている方
参加費
無料
参加方法
申込みフォームに必要事項をご入力ください
*十分な点数をお届けするため、事前のお申込みをお願いしています

坂本創 陶芸家
少しでも美味しいご飯と楽しい時間を過ごせるように、と思い日々器を作り続けています。この世界は辛いこともたくさんあるけど、楽しいことも必ずあるので。
いつか、器を受け取ってくれたこどもたちと飲みに行けたらうれしいです。

松形恭知 陶芸家
ジャーナリストのむのたけじさんは「より高く、より遠くに跳躍しようとする者は、それだけ助走距離を長くする。現在以後をより高く積もうとする者は、現在以前からより深く汲みあげる」との詞を残しています。ほんのささやかではありますが、皆さんの助走と跳躍を応援したい気持ちでいっぱいです。
環境への配慮と、
未来の担い手へつなぐ思い
「ハネモン」と呼ばれる、制作工程で小さなキズなどが生じ正規品としての販売が難しい器や、洋服のサンプル品などを活用することは、廃棄を減らす環境への配慮であると同時に、ものづくり文化を次世代へ伝える取り組みでもあります。
作り手の思いと技術が込められた器や洋服を、新しい生活を始めるこどもたちに手渡すことで、ものや文化を受け継いでいきます。担い手不足が課題とされるものづくりの世界に触れるきっかけとなり、未来へとつながる循環を育んでいきます。



「これから一人になる食事の時間も楽しめそうです。」
−児童養護施設 出身者 18歳
「少しずつ違ううつわを実際に手に持つことで、自分が好きな、この先の生活で長く使えそうなものを選べて良かったです。」
−自立援助ホーム 入居者 19歳
「普段自分では選べないような服に挑戦できました。これから社会人となります。はずかしくないような服をいただけてとてもうれしいです。」
−児童養護施設 出身者 21歳
「社会人生活に向けて考えながら選びました。いいものがいっぱいあって本当に感謝です。」
−児童養護施設 出身者 22歳
「1枚ずつ、少しずつちがいがあり、どれにしようか楽しみながらとても悩んでいる子どもの様子がありました。
食事の時間をイメージしながら選ぶとても良い時間となりました。」
−児童養護施設 職員


取り組む社会課題
暮らしを思い描くことの難しさ
親と離れて暮らす様々な背景をもつこどもたちが、希望を持って自分らしい一歩を踏み出せるように。「うつわとお洋服のお渡し会」は、次のような社会課題を解決するための取り組みとして実施しています。
様々な背景から、巣立ち後の生活を想像しにくい
虐待やネグレクトなどに関する相談は、全国で年間約20万件にのぼるとされています。こうした背景をもつこどもたちの中には、「考えても仕方がない」という諦めが先に立ち、将来や自分らしい暮らしを思い描くこと自体が難しい場合があります。社会的養護下では集団生活が中心となり、規則正しい生活が優先される一方で、暮らしの豊かさに触れる機会が限られがちです。
一人暮らしの準備に必要な体験や情報が不足しやすい
社会的養護下で育つこどもたちは、巣立ち後の若者や大人の暮らしに触れる機会が限られています。一人暮らしを始める様子を間近で見ることや、準備の進め方を具体的に知る経験が少なく、集団生活のなかでは、自分で調べ、選び、動く経験を重ねにくい環境にあります。また、限られた時間のなかで自立の準備を進めざるを得ないことも少なくありません。その結果、暮らしに必要な知識や選択肢に十分に触れないまま、新生活が始まってしまうことがあります。
自分で選び、決めるという経験が少なくなりやすい
社会的養護下では、安全性や公平性が重視される一方、日常の中で自ら選択・決定する経験が限られがちです。また、入所以前に失敗を受け止めてもらえない環境で育ったこどもも多く、自信のなさから選択や決断に不安を抱く傾向があります。そのため、自分の選択の結果を引き受ける経験が積み重ならず、進路や生活の場面で決断をためらいやすいという課題もあります。