わたしたちは、児童養護施設や里親家庭など社会的養護のもとで育ったこども・若者が、自分らしさを大切にしながら、軽やかに歩んでいける社会の実現を目指しています。
自分を知り、未来へ進むための学びや体験。困ったときに一人にならないためのつながり。多様な大人との関わりの中で、人生を主体的につくっていく力を育みます。こどもたち一人ひとりに寄り添い、アートや文化を軸とした支援事業を柔軟に展開していきます。

はじまり支援事業
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巣立ちを迎えたこども・若者が、大切につくられた器や洋服に触れながら、たくさんの人の応援と一緒に、新しい暮らしの一歩を踏み出すきっかけをつくります。
課題
暮らしを思い描くことの難しさ
取り組み
“手から手へ” 想いをつなぐ
スクール事業
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様々な分野の講師とのワークショップや対話を通して多様な生き方に出会い、自己理解を深め、関わりを通して未来を描く力を育む、半年間のプログラム。
課題
未来を諦めてしまうという現状
取り組み
自分と未来をひらくプログラム
サロン事業
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巣立ち前後のこども・若者が、困りごとや日常のささいなことを同世代や大人と話すことができ、安心して立ち寄れるささやかな交流の場。
課題
巣立ち後、助けを求める相手がいない
取り組み
安心できるつながりをつくる
しごと体験事業
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仕事に出会い、体験を通して「自分らしい未来」を描く力を育むプログラム。
課題
離職につながりやすい背景
取り組み
自分らしい未来を描く力を育てる
リサーチ事業
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社会的養護下のこどもたちと現場の「今」に耳を傾け、より質の高い支援を実施するためのリサーチプログラム。
課題
見えにくい困りごとが確かにある
取り組み
一人ひとりへ、まなざしを向ける

社会課題
社会的養護経験者が抱える
見えにくい困難
社会的養護のもとで暮らす子どもたち
社会的養護とは、保護者のいない子どもや、虐待や保護者の疾病・経済困難などの事情により家庭で暮らすことが難しい子どもを、社会全体で…
社会的養護とは、保護者のいない子どもや、虐待や保護者の疾病・経済困難などの事情により家庭で暮らすことが難しい子どもを、社会全体で養育し支える仕組みです。児童養護施設や乳児院、里親家庭、ファミリーホームなどでの生活を通して、子どもの健やかな成長と自立を支援することを目的としています。
社会的養護のもとで暮らす子どもは、令和4年時点で約4万2,000人にのぼります。また、児童相談所が対応する児童虐待相談件数は年々増加しており、2023年度には22万5,509件と過去最多となりました。こうした状況は、家庭の困難が複雑化・長期化している現実を示しています。
これらは社会的背景の複合的な影響を反映しており、本人の意思とは関係なく家庭環境を失った子どもたちは、日常的な安全基地や愛着関係を築く機会が十分に得られないまま成長する場合もあります。
(出典:こども家庭庁「児童養護施設入所児童等調査」、こども家庭庁「児童相談所における児童虐待相談対応件数」)
成長過程における体験機会の格差
社会的養護のもとで育つ子どもたちは、学校教育や施設内での支援を受けながら生活をしていますが、家庭や地域に広がる多様な体験に触れる…
社会的養護のもとで育つ子どもたちは、学校教育や施設内での支援を受けながら生活をしていますが、家庭や地域に広がる多様な体験に触れる機会は限られがちです。
一般家庭では、習い事や旅行、親の仕事や地域の大人との関わりを通して、自然に価値観や社会との接点を広げていきます。一方で、社会的養護の現場でもさまざまな工夫がなされていますが、集団生活の運営や職員配置基準、予算上の制約などから、個々の興味関心に応じた体験を継続的に保障することが難しい現状があります。
内閣府の調査でも、生育環境によって子どもの体験機会に差が生じていることが示されています。たとえば、スポーツや文化活動などの習い事に参加している割合は、世帯収入が低い家庭では約3割程度にとどまる一方、収入が高い家庭では約6〜7割に達するなど、体験機会の格差が確認されています。
スポーツや文化活動、職業体験、地域の多様な大人との対話といった経験は、自己肯定感や非認知能力(自立性・協調性・挑戦する力など)を育む重要な土台です。こうした体験機会の差は、子どもたちが将来の進路や働き方、暮らし方を思い描く力や「やってみよう」と踏み出す力に影響し、社会へ巣立つときの進路選択や社会参加の場面で見えにくい不利として表れることがあります。
(出典:内閣府「子供の生活状況調査」)
社会へ巣立つときに直面する課題
日本では、社会的養護のもとで育った若者の多くが、18歳前後で施設や里親家庭を離れ、進学や就職など自立に向けた選択を迫られます。毎…
日本では、社会的養護のもとで育った若者の多くが、18歳前後で施設や里親家庭を離れ、進学や就職など自立に向けた選択を迫られます。毎年およそ3,000人の若者が社会へ巣立っているとされています。
退所後の進路は、進学46.5%、就職42.8%となっており、多くの若者が高校卒業と同時に社会へ出ています。
しかし、進路選択の段階から一般の若者との格差が指摘されています。社会的養護のもとで育った子どもの大学・短大等への進学率は約30〜35%にとどまり、一般の高校卒業者の大学進学率(約57%)と比べて大きな差があります。
東京都の調査でも、社会的養護のもとで育った若者の最終学歴は「高校」が57.5%と最も多く、4年制大学は9.4%にとどまっています。後ろ盾が限られるなかで進学を選択することは容易ではなく、進路の選択肢が限られやすい現状があります。
就職した場合にも課題があります。社会的養護出身者は、就職後3年以内の離職率が約5割とされ、一般の高卒就職者と比べても高い傾向が指摘されています。生活基盤が十分に整わないまま社会に出るケースも多く、仕事上の悩みや生活上の困難を一人で抱え込みやすい状況があります。
こうした背景には、巣立ち後に直面しやすい次の三つの課題があります。
①退所後は施設職員や里親との日常的な関係が薄れ、困ったときに相談できる大人が身近にいなくなることがあります。
②経済的事情などから、安定した住まいを確保することが難しいケースがあります。
③仕事上の悩みや生活上の困難を相談できる相手がいない場合、離職や孤立につながることがあります。
このように、社会的養護を巣立った若者は、進学・就労の選択の段階から、巣立ち後の生活基盤まで複合的な課題に直面しています。そのため、住まい・就労・人とのつながりを含めた継続的な支援や地域との関係づくりが重要であると指摘されています。
(出典:こども家庭庁「児童養護施設入所児童等調査」、文部科学省「学校基本調査」、東京都福祉保健局「社会的養護経験者の実態調査」)
自分の足で人生を歩むために
わたしたちは、巣立ちの前後に生まれやすい不安やつまづきに寄り添い、最初の一歩を支えます。5つの取り組みを通して、安心して未来を描き、自立に向けて自分らしい歩みを進められる土台をつくります。